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やはり『よつばと!』はまとめ読みに限る。最新刊を読んで改めてそう感じた。
(話が前回の話と微妙にリンクしている)という指摘はよく耳にするが、月刊ペースで読んでいるとなかなかそれを実感できないからだ。 リンク部分が実にさりげない上に、各話単独で読んでも差し支えないようにうまく描かれているので尚更である。 単行本でまとめて読むとそうした点がよく分かるし、本自体にも仕掛けがあったりして読む度に新しい発見がある。 書評や感想はいろいろなところで書かれているので、ここでは上記の様な点を中心にまとめてみようと思う。 <口絵> あさぎと一緒に“さーたーあんだーぎー”をほおばるよつば。 これは2巻収録の14話「あさぎのおみやげ」の続きである。 2巻は、あさぎのおみやげで盛り上がる綾瀬家によつばが遊びに来たところで終わっている。巻末にはよつばの靴が脱がれた玄関の絵。 口絵は正にこの続きで、家に上がったよつばがあさぎのおみやげを食べているシーンなのだ。 <15~16話> 15話、動物のテレビを見ているよつば。画面にはキリン。 16話でよつばが虎子に言う“昼に見た”番組がこれ。 <16~17話> 16話、恵那とバトミントンをするよつば。へたくそ。 17話では風香とやっているが、“特訓”と言ってるのは上記のシーンを受けてのこと。 <19話> とーちゃんの重大発表の「バスに乗って」の言葉に過剰に反応するよつば。 17話でよつばのバス好きがきちんと描かれている。 さらに、翌日の動物園が楽しみでなかなか寝付けないほどの動物好きも、15~16話で既に伺える。 <20話> とーちゃんに「花火大会がどんなのか知ってるか?」と聞かれて、新体操?のようなポーズをとるよつば。 16話でも風香と一緒に花火で輪を描いてるシーンがあり、よつばにとっての花火のイメージが伺い知れる。 <21話> 花火を見て「おはなやさんいみねーな」と言うよつば。 19話で象を見て「ジャンボいみねーな」と言ってるのと対応している。対象が花火=花なので、ジャンボからおはなやさんになってるところが心憎い。 <巻末~奥付> 巻末ページの真ん中に初出一覧が一行。右下には、それを見上げるよつば・恵那・みうら。 奥付は放射状に項目が配置され、やはり右下にはよつばたち三人。みな両手をあげている。 これはつまり、21話を受けての花火の再現である。 <裏表紙> 笛を吹く婦警さんの横でリコーダーを吹くよつば。 普通に見れば、笛を持ってないから代わりにリコーダーを吹いてる絵でしかない。 けれどよく見ると、帯に栗コーダーカルテットによる『よつばと♪』CDの告知が。 だからこそのリコーダーなのか。 この様にちょっとした台詞や行動が後々生きてきたり、口絵・奥付・カバー・カバー下・帯にまで遊びを入れるこだわり。 作品の隅から隅まで神経が行き届いてることが読んでいて伝わってくる。 サービス満点の職人仕事である。 一度読んだらそれで終わりの消費される漫画が多い中、作者・デザイナー・読者に愛されている単に消費されるだけではない作品、それが『よつばと!』だと思う。
by norabumi
| 2004-12-12 22:33
| 漫画
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